2014年9月15日月曜日

海外文学書評 #1 「流れよ我が涙、と警官は言った」

日本では海外文学はあまり人気がないらしい。
ハリー・ポッターや、ダ・ヴィンチ・コードのような一部例外をのぞいて、
販売ランキングで上位に来ることはほとんどない。

しかし、筆者はその逆で、基本的に海外文学しか読まない。
そこでお気に入りの海外文学を紹介していこうという試みである。

記念すべき第一回は、アメリカのSF作家フィリップ・K・ディックが書いたSF小説、「流れよ我が涙、と警官は言った」である。




・タイトル:流れよ我が涙、と警官は言った
・原題:Flow My Tears,The Policeman Said
・作者:フィリップ・K・ディック
・訳者:友枝康子
・出版社:早川書房
・出版日:1989/2/1

ディックの作品は、日本では映画化された「ブレードランナー」の原作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」や、同じく映画化された「トータル・リコール」などが有名である。

あらすじ:
舞台は1988年10月11日のアメリカ合衆国。ちまたでは『ジェイソン・タヴァ・ショー』と呼ばれるバラエティー番組が話題となり常に高視聴率を維持し続けている。
その番組の司会でもある3000万の視聴者から愛される容姿端麗の男、ジェイソン・タヴァー。
彼は歌手でもあり俳優でもある所謂マルチタレントであった。火星のコロニー住民にも存在を知られている。
彼の経歴などは謎に包まれておりファンも正体についてまでは知らなかった。
実態はスィックスと呼ばれるデザイナーベビーであり遺伝子操作されて生まれた新人類である。彼らはあらゆる所に拠点を置いて生活している。
彼の番組は夜中に放送され多くのファンを魅了していった。
なお私生活も悠々自適であった。
ある日、彼は見知らぬ安ホテルで目を覚ます。気がつくと手元の身分証明書が無くなっており馴染みのある知人やファンからも存在を忘れ去られていた…… 突然の理不尽な出来事に納得ができないタヴァーはあらゆる手段を使い自分のアイデンティティを取り戻そうとするものの物的な証拠は見つからず国家のデータバンクからも存在自体が抹消されていた。本人が所持しているIDすら偽造のものであった。
彼は存在しない男になっていた。もはや誰も自分の存在を知らない無色透明な存在…自分に関する手がかりを探して行く中で警官にも追われることとなり、彼の身に次から次へと奇怪な出来事が起こるようになる。
そんな中で自暴自棄になった彼が起こした行動とは。ラストは衝撃的な事実が明かされることになる。(Wikipediaより抜粋)

感想:
世界的なスターであったジェイソンは、ある日突然IDを失ってしまう。
IDのない人間は警察に逮捕され、強制収容所に送られてしまう。
ジェイソンに残されたのは、類まれな官能的な容姿、オーダーメイドのシルクのスーツ、愛人へのプレゼントを買うために所持していた札束、そして華やかな世界のスターとして長年培ってきたカリスマだけ。
これらを巧みに利用して、警察をやり過ごし、自らのIDを取り戻そうとする。
物語は全体的に説明を省略し、テンポ良く進んでいく。
ジェイソンの見る物語とは別に、ジェイソンを追う警察の物語が途中から始まり、二人の物語が交互に展開する。
ジェイソンの物語のほうが分量が多く、そちらを追いがちだが、真に重要なのは警察の物語だ。
そちらを重視して読めば、タイトルの意味が「ストン」と落ち込んでくる。
ラストはやや無理がある展開に見えるが、警察視点で見ればある程度の理解が可能だ。




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